各医療職の給与の傾向と業務について

社会保険によって診療や調剤活動を実施している全国の医療機関と薬局を対象に厚生労働省が調査した結果によると、2014年度の医師の平均月給は106万3,074円で、平均賞与は180万5,411円だった。医師は、臨床現場の最前線において複数の医療専門職を統率するリーダーの役割を果たしており、医療業界の中核を担っている。そのため、医療専門職の中でも群を抜いて給与が高額だ。加えて、勤務医でも人手不足の施設の当直や診察を任されてアルバイトとして働く機会が多く、年収アップに繋がる働き方を選びやすい側面を持っている。

その一方で看護師は、同調査の結果では平均月給が33万34円で、平均賞与が100万4,688円となっている。基本給はサラリーマンと同等だが、時間外勤務や当直に対する手当てが多いようだ。平均年収約500万円の高給取りを目指せるものの、業務上の負担は非常に大きく、決して楽な仕事ではない。しかし、それでも、仕事へのやりがいや充実感をしっかりと得られることから、離職率は平均よりも低い値を推移しているのが特徴だ。

だが、似たような職種であっても医療行為の行えない介護職の給与は、看護師に比べると格段に低い。これは、医師や看護師よりも専門性に劣る点に一因しているのではないだろうか。しかし、人工知能が急成長して仕事の自動化が一般的な時代が訪れた時も、介護職はなくなる可能性は極めて低いだろう。なぜなら、介護もまた一人一人のニーズに合わせてケアをする必要があるからだ。

介護職を含めた医療職は、高齢化が加速する日本において必要不可欠な職種であり、将来性もあるので、若い世代の人たちには積極的に目指してほしいものだ。医療職に携わる人材が増えると、それぞれの職種が抱える人材不足も解消され、さらに質の良いケアが受けられるようになるのではないだろうか。